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アドベンチャー

水中で出逢える海の生き物たち

太平洋の中央に位置するハワイ諸島には、その孤立した環境ゆえに興味深い海洋生物たちが集まります。

Reef and palm trees

ハワイ島のサンゴ礁に生息しているキイロハギ。 写真: ハワイ島観光局 (BIVB)/Kawika Singson

ハワイに来たら必ずトライしたいシュノーケリング。ここでは、ハワイ近海に生息する海洋生物たちをご紹介します。

 

リーフフィッシュ

Convict tang 

ハワイの海に棲む魚類の 25% が固有種であり、世界の他の場所では見られません。ハワイが他の島々から離れていることがその一因です。 ハワイに生息している魚類の多くは幼生期に潮流に乗ってやって来たもの。祖先の頃からユニークな方法で生態を変えて、新たな環境に適応してきました。 特にレモンチョウチョウウオとサドルラスは、ハワイ以外の世界中のどの海に潜っても見つけることができません。 ハワイ群島内でさえ、ある島の周りではよく見かけるのに、他の島ではほとんど目にできない魚もいます。 たとえばバンディットエンゼルフィッシュはカウアイ島の沿岸で頻繁に目撃されますが、他の場所では沖合にしか生息していません。 ハワイ島のコナコーストはキイロハギの群れが集まることで有名です。 面白いことに、ハワイ州の魚であるモンガラカワハギ (フムフムヌクヌクアプアアとも呼ばれる) はハワイの固有種ではありません。

 

水生無脊椎動物

Sea urchin 

ここでは脊椎をもたない水生動物全般、すなわちロブスターやカニ、タコ、エビ、巻き貝、ウニ、海綿動物をご紹介します。ハワイの水生無脊椎動物の約 20% が固有種。 ハワイで有名な無脊椎動物と言えばコヤスガイです。コヤスガイは主に岩がちな海岸地域に生息しています。 無脊椎動物はサンゴ礁や潮溜まりに棲み、通常、夜間に最も活動的になります。

 

サンゴ

Coral 

ハワイのサンゴは、他の地域のもののように紫やピンクといった鮮やかな色のものではありません。科学者によると、その理由はハワイの火山島が比較的新しいからだとか。 実のところ、ハワイの主要な島々で頻繁に見かけるサンゴはわずか 6 種類。 そして、岩の多い海底には背丈の低いサンゴがよく点在しています。 ハワイ島のコナコーストには、沿岸に生息する種のサンゴが密集しています。

 

アオウミガメ

Green Sea Turtle  

ウミガメは、ハワイ諸島の誕生以前、1 億年以上前からこの地域に生息しています。 ハワイ文化では、ウミガメはほとんど神話的な存在。ハワイ人の中には、ホヌ(ウミガメ)は先祖から成る守護者、すなわちアウマクアだと考えている人もいます。 アオウミガメという名前は、草食であるがゆえに脂肪の色が青みを帯びていることに由来しています。 そのように畏敬されていたにもかかわらず、アオウミガメの数は、1978 年に絶滅危惧種に関する条例によって保護されるまで急激に減少しました。 現在ではその数が劇的に回復し、シュノーケリング中やビーチ沿いの散歩中にアオウミガメに遭遇することは珍しくなくなりました。 大部分が遠く離れた北西ハワイ諸島にて産卵しますが、主要なハワイ諸島の島々で産卵するウミガメも少しずつ増えています。

 

ザトウクジラ

Humpback whale breaching 

こちらも絶滅危惧種に関する条例で名前が挙げられているザトウクジラ。毎年、冬期にアラスカからハワイに回遊する個体が増加しています。 メスたちはハワイの温かい浅瀬で出産するために、1 ヵ月にわたる旅をします。ここには天敵もほとんどいません。一方のオスたちは繁殖の望みを抱いて、メスを追ってきます。 ザトウクジラはハワイ島からカウアイ島まで、ハワイ諸島のいたる場所で見かけますが、とくに密集しているのはマウイ島とラナイ島、カホオラウェ島に守られた海域です。 ホエールウォッチングのベストシーズンは 1~3 月。シュノーケリングやダイビング中に遭遇することは極めて稀ですが、水中で彼らの声を聞くことができるかもしれません。 長年にわたって、科学者たちはオスのみが奏でるこの複雑で変化に富んんだ歌を録音してきました。彼らが歌う理由は謎に包まれていますが、仮説として、他のオスたちに繁殖活動に関して協力しよう、あるいは競争しようと伝えているのではと言われています。

 

ハシナガイルカ

Spinner dolphin 

ハワイのハシナガイルカは夜になると沖合に出て餌を獲ります。昼間は沿岸の砂底の湾内で休んでいる姿がよく目撃されますが、その時のハシナガイルカたちは「自動操縦」モードに入っており、半分の脳を休ませてもう半分を覚醒させるということを交互に行っています。これによって、呼吸のために浮上することができるのです。 イルカとしては小柄な種であり、成長すると体長 1.2~2 メートル、体重 45~75 キロに。 細長い口をしており、背面は濃いグレーで脇腹は中程度のグレー、お腹は薄いグレーという目立つ配色です。 科学者たちは、背ビレの特有の形状や刻み目、切り込みで個体を見分けます。

 

ハワイモンクアザラシ

Baby monk seal 

ハワイモンクアザラシは、世界で最も絶滅が危ぶまれている海洋哺乳動物のひとつ。わずか 1,100 匹しかいないと推定されています。 ハワイモンクアザラシには、アシカやトドのように群れる習性はありません。 陸上では不器用な動作を見せますが、その流線形の体は海を泳ぐためにできています。彼らは生涯の 3 分の 2 を水中で過ごしており、いったん沖合に狩りに出ると陸へは数日間、時には数週間も戻ってきません。 通常は 6 分間息を止めて約 90 メートルの深さまで潜って食糧を探します。最高で 20 分間、約460 メートルの深さまで潜ることができます。 ハワイモンクアザラシの大半は北西ハワイ諸島の低地の島々で暮らしていますが、全体の約 15% はハワイ諸島、とくにカウアイ島やオアフ島、モロカイ島の沿岸やビーチに生息しています。

 

サメ&エイ

Manta ray 

他の海と同じく、ハワイの海にもサメがいるのは確かです。しかし、シュノーケリングやダイビングをする人が遭遇するような、岩棚の下や岩礁の周りにいるサメたちは攻撃的ではありません。 サメはハワイ語でマノと呼ばれています。伝統的には、そして今日でも、一部のサメはアウマクアと呼ばれる祖先の魂を体現していると信じられており、お供え物が捧げられます。 サメの近種であるエイもまた、軟骨魚綱に属しています。 マンタは胸ビレの幅が 4.5~6 メートルになるまで成長し、プランクトンを濾し取って食べます。毒針をもたず、岩礁の上を泳ぐことはほとんどありません。 それよりもはるかに小さいマダラトビエイは、幅 1.8 メートルほどの大きさで、少数の群れを作って特定の岩礁の周りで生息することで知られています。

著者 Kim Steutermann Rogers

写真提供 Kim Steutermann Rogers