Ohia lehua(オヒアレフア): ハワイのシンボルを守る

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Ohia lehua(オヒアレフア): ハワイのシンボルを守る

ホロホロチャレンジ 2022でも取り上げられている、ハワイ島を象徴するハワイ固有種の花、ohia lehua(オヒアレフア)の伝説を紹介します。

この木に咲くポンポンのような形をした特徴ある花、lehua(レフア)は、ほとんどが鮮やかな赤色です。

この花の伝説が伝えているのは死や喪失ではなく、強さと気概です。復活力と成長の物語です。近年は枯死問題に見舞われているohia(オヒア)ですが、ohia lehua(オヒアレフア、学名:Metrosideros polymorpha)の伝説は生命がテーマです。

今年前半に行われた式典で、Igeハワイ州知事が知事公邸であるワシントンプレイスの敷地内に自らohia(オヒア)の幼木を植樹したのもそのためです。Ige知事はohia lehua(オヒアレフア)をハワイ州の固有樹に指定する新しい法案を承認し、式典では少人数の出席者に見守られながら、庭師のように丁寧な手つきでohia(オヒア)の細い幹に土をかけて手で土をならしました。

Ige知事は式典のスピーチで、ohia lehua(オヒアレフア)はハワイのシンボルであることや、この木がハワイの原生林の80%を占めていること、そしてこの数年は絶滅に瀕していることを説明しました。真菌がもたらす感染症、Rapid Ohia Death (ROD)により、ハワイ島だけで100万本以上のohia(オヒア)の木が枯死し、今もハワイ全体のohia(オヒア) が危機に見舞われています。

「Ohia(オヒア)に注目が集まることで、この木がこれまでハワイの生活にとって重要な存在であったことや、これからも重要であり続けるというメッセージを広めることができます」と、Ige知事は言います。

2014年から、Rapid Ohia Death (ROD)と呼ばれる菌類病原体が発生し、ハワイ島のohia(オヒア)が非常に高い割合でこれに感染して枯れていることが判明しました。この菌は数ヵ月かけて木の内部に広がり、幹の中の水分の流れを遮断します。これにより、葉や樹冠がしおれて茶色に変色してしまいます。現時点でこの病気を治療する方法はなく、病原菌を根絶する方法も見つかっていません。

Ohia(オヒア)

Ohia lehua(オヒアレフア)は最も一般的なハワイ固有種の木で、ハワイの原生林の80%を占めています。

たくさんのohia lehua(オヒアレフア)

Ohia lehua(オヒアレフア)の森はハワイ諸島全体で約40万haを占め、沿岸の低地から乾燥した高地まで、さまざまな場所で見ることができます。Ohia(オヒア)は、溶岩流が冷えてできた玄武岩や島の最も古い地域の栄養豊富な土壌から育った最初の植物のひとつです。非常に種類が多く、熱帯雨林の気候で18mもの高さに育つものもあれば、乾燥した高地で低木として育つものもあります。この木に咲くポンポンのような形をした特徴ある花、lehua(レフア)は、ほとんどが鮮やかな赤色ですが、中には黄色や薄いピンク色の花もあります。

島にはohia(オヒア)が豊富にあることから、初期の入植者はこの木を大いに活用しました。Ohia(オヒア)の木を使ったさまざまな道具や武器が作られ、kapa(カパ)工芸の樹皮を叩く棒、poi(ポイ)をすりつぶす器、建物や囲いの部品としても使われました。樹皮や若葉の芽、花は薬の材料になりました。Ohia lehua(オヒアレフア)はハワイ神話の女神Pele(ペレ)とも文化的なつながりがありますが、これはおそらく燃えるような赤や黄色の花から連想されるのでしょう。それだけでなく、雨とも深いつながりがあります。

ハワイ火山国立公園の黒い溶岩石

生命力あふれるohia lehua(オヒアレフア)は、ハワイ火山国立公園の黒色溶岩のあちこちで育っています。

OhiaとLehuaの伝説

OhiaとLehuaの伝説は、愛と嫉妬の物語です。火山の女神Peleは、Lehuaという名の魅力的な男性に心を奪われました。しかし、OhiaにはすでにLehuaという女性を愛していました。嫉妬に目がくらんだPeleは、Ohiaが自分のものにならないのなら誰にも渡さないと、Ohiaをウロコのような樹皮と節くれだった幹のある木に変えてしまいました。元に戻してほしいと頼まれても拒否します。Lehuaは自分のaumakua(アウマクア、先祖神)に助けを求めました。しかし、aumakua(アウマクア)はOhiaを人間に戻す代わりにLehuaをOhiaの木の赤い花に変え、恋人たちが永遠に一緒にいられるようにしました。Lehua(レフア)の花を摘むと、恋人たちが離ればなれになるので雨が降るという迷信があります。

私は子どものころ、よく家族でハワイ火山国立公園のナマカニパイオでキャンプをしました。ある夜、私は兄と一緒にキャンプ場の北側にあるohia(オヒア)の森に行って、曲がりくねった道を歩きながら薪にする枝を拾い集めたり、さわやかな空気やマウナロアの絶景を楽しんだりしました。その帰り道で、大きなlehua(レフア)の花を見つけて、この花を摘んでみる勇気はあるかとお互いにけしかけ合いました。Lehua(レフア)の花を摘むと雨が降りだすという言い伝えがあるのです。しばらくそこで根比べをしていましたが、結局は兄も私も花を摘むことはできませんでした。迷信が怖かったからか、それともohia lehua(オヒアレフア)の花に畏敬の念を抱いたからか、そのときはわかりませんでしたが、おそらくその両方が少しずつ心の底にあったと思います。

Ohia(オヒア)

Rapid Ohia Deathの蔓延を防ぎ、このハワイ固有種を未来の世代も楽しめるよう、私たちにできることがあります。

Ohia lehua(オヒアレフア)の未来を考える

今は悲惨な状況に見えるかもしれませんが、ハワイ居住者もハワイを訪れる人も、Rapid Ohia Deathの蔓延を防いでohia lehua(オヒアレフア)を守ることができます。このハワイのシンボルを未来に残せるよう、今すぐできる5つの取り組みを紹介します。

  1. 報告する。Rapid Ohia Deathの症状が出ているohia lehua(オヒアレフア)を見つけたら、すぐに地域の侵入種委員会に報告してください。
  2. Ohia(オヒア)を移植・移動しない。許可なくohia(オヒア)の木や木の一部、木材を他の場所へ移すと、Rapid Ohia Deathが広がる恐れがあります。
  3. Ohia(オヒア)を傷つけない。樹皮が傷つくと、そこから真菌が入りやすくなります。
  4. 清潔に保つ。常に靴や持ち物、ギアを清潔に保ち、他の島へ渡るときは特に注意してください。
  5. 洗車する。病原菌は車について移動することがあります。特にオフロードを走行したあとは、タイヤや車の下部をよく洗いましょう。他の島へ車を移送するときは特に注意してください。

注記:ハワイ語の発音区別符号はウェブ上で正しく表示されない場合があるため、本記事では省略しています。

 

著者 Spencer Kealamakia

August 26, 2022