SUP(スタンド・アップ・パドルボード)

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SUP(スタンド・アップ・パドルボード)

世界各地で人気が沸騰するこのSUPのワールドツアーが、今年も江ノ島で開催される。ゴールデンウィークのまっただ中、日本からはもちろん、世界30カ国からトップアスリートが参戦。華麗なデモンストレーション、ハワイアンエンターテイメントなども予定され、海のライフスタイルを満喫できる3日間となる。

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サーフカルチャーブーム再燃の火付け役
SUP(サップ)はサーフボードのような専用ボードに立ち、パドルを漕いで水の上を進む新世代マリンスポーツだ。1960年代にハワイで生まれ、2000年を境に爆発的に拡大していった。その魅力は何といっても、初心者でもすぐにボードに立てる手軽さ。小ぶりながら板が安定しているので、パドルを使って簡単に水面を滑走することもできる。一方、上級者にとっては、ハワイの大波を思いのままにターンするなどスリリングなライドも自在に楽しめ、レベルに応じた懐の深いスポーツといえる。さらにボード上でのヨガによる体幹トレーニングとして、また海、川、湖など自然の中で楽しめるアクティビティとしても、今や大人気。ハワイやオーストラリアだけでなく、日本でもSUP人口は急速に増えている。

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日本の代表的な「ゲレンデ」、江ノ島
競技人口が増えるにつれSUPは「パドルサーフ」「パドルボード」など、さまざまな呼び方で親しまれるようになった。この大会も世界規模へと成長していくなかで、正式名称をAPP(アソシエーション・オブ・パドルサーフ・プロフェッショナル)ワールドツアーに一新。現在、本場ハワイでは、APPサンセットビーチ・プロ(オアフ島)を皮切りにAPPマウイ・プロ・アマなど、年間8つの大会が世界各地で開催される。今年3カ所目のツアーが、ここ日本で開催されるAPPワールドツアー江ノ島プロ・アマ選手権だ。愛好家たちはしばしばSUPのポイントを「ゲレンデ」と呼び、海、川、湖を問わずそのスポットは全国に増えつつある。そんな中でも、いち早くこのマリンスポーツが広まっていったのが、神奈川県藤沢市の江ノ島海岸だ。「湘南エリアは、スポーツだけでなく、海を中心にしたライフスタイルが根付いています」と、APPワールドツアー主催者のトリスタン・ボックスフォードさんは語る。過去3回の江ノ島大会で、世界中から参加した選手たちも、ぜひまたこの江ノ島で戦いたいと絶賛しているという。

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上位入賞が期待される今年の日本勢
実は、海外からの選手や関係者にこの江ノ島大会が親しまれているのには、もう一つ理由がある。爽やかなマリンブルーの海に浮かぶ江ノ島の背後には、富士山の雄姿が重なり、まさに「ザ・ジャパン」な景色が大受けなのだ。2020 年東京オリンピックでは複数の種目開催も予定されている。そんな絶好の舞台に呼応するように、今年はいつにも増して日本選手に期待が寄せられている。男子では、日本のSUPをリードしてきた本橋正浩選手を筆頭に、パワフルなパドリングが武器のアウトリガー経験者ケニー・金子選手、そしてモロカイ・オアフ海峡横断レースで実力をつけた村林知安選手などに注目したい。女子では、安定した強みを発揮する横山貴代選手が上位入賞を目指す。大会全体では、男子世界ランキングのトップ32名、女子12名がエントリー。とりわけマークしたい海外勢は、男子ではハワイのモー・フレイタス選手、女子ではオーストラリアのテレンス・ブラック選手などだ。

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ゴールデンウィークの最後を飾る土・日
今年の大会の皮切りは5月5日の金曜日。夕方からパレードとオープニングセレモニーが江ノ島海岸で行われる。本番のレースは翌5月6日土曜日から。まず6日は長距離レースの予選と決勝だ。片瀬東浜海水浴場をスタートし、江ノ島との間をトライアングル状に滑走する全長10キロのコースが舞台となる。力強いパドリングで競い合う、見応えあるレースだ。そして7日の日曜日は、スプリントレースの予選と決勝が競われる。同じく片瀬東浜海水浴場をスタートし、湾内をジグザグ走行する全長300メートルのコースだ。こちらはスピード感に溢れ、いわば大会の華。両日ともにレースや表彰式の合間には、ハワイアン音楽やフラなどのエンターテイメントが開催され、SUPファンはもちろん、カップルやファミリーなども一緒に楽しむことができる。


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SUPで世界をつなぐ
2017年APPワールドツアー・シリーズは、この江ノ島大会のあと、ドイツ、ニューヨーク、サンフランシスコ、中国、カナリア諸島での開催が予定されている。江ノ島に先立って行なわれたオアフ島、そしてマウイ島はもちろんのこと、ツアー開催地の大部分には、一つの共通点がある。それは、ハワイアン航空が運航している都市だということ。今年から同社は公式スポンサーを務め、このAPPワールドツアー・シリーズは一段とスケールアップした。「私たちが長年、応援してきたオーシャンスポーツに、またひとつ新しい種目が加わることをとても名誉に思います」と、ハワイアン航空マーケティング担当上席副社長のアヴィ・マニスは語る。このハワイ生まれのSUPというマリンスポーツを単なる競技としてだけでなく、多様性にみちたハワイ文化のひとつとして、音楽や踊りと共に世界の人々と分かち合ってもらいたい。APPワールドツアーにはそんな思いが込められているという。今回のAPPワールドツアー・江ノ島プロ・アマ選手権は、映像、画像、デジタルメディアなどを通じて世界100カ国以上に配信される。日本で広がりつつあるマリンライフカルチャーを、世界に向かって発信するまたとない機会になるだろう。

2017 APPワールドツアーのホームページ:  http://app-jp.asia

 

 

著者 道添進

April 21, 2017