ポイの歴史:ハワイの主食とのつながり

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ポイの歴史:ハワイの主食とのつながり

伝統的(かつ美味)な、ハワイのタロイモの歴史を掘り下げます。

ポイは、伝統的なハワイ料理の付け合わせで、kalo(タロイモ)の球茎を調理して作ります。

ハワイは昔から人種のるつぼと言われています。何世紀にもわたって世界各地の人々がハワイの島々へやってきて、ハワイ独自のライフスタイルを築いてきました。その中でも特徴的なのが、おそらく料理でしょう。ハワイの食べ物は東洋と西洋の融合です。たとえば、醤油や砂糖がマカロニやマヨネーズと出会い、もち米に合うおかずが誕生するといったように。しかし、中にはほかの土地にはないハワイ独自の料理もあり、ポイはそんな食べ物のひとつです。

ポイは、グレーがかった紫色のねっとりした食べ物で、ハワイでは、keiki(子ども)の1歳の誕生祝いや卒業パーティー、ウエディングなど、特別な日のごちそうに登場します。カルアピッグやロミロミサーモン、チキンロングライスなどに添えられます。

ポイは店の棚に並んだとたんに売り切れてしまうことが多いですが、週に何度かはポイを添えた料理が夕食に登場する家庭も多いのではないでしょうか。私の祖母は、酸味のあるポイをガラスのボウルに入れてラップをかぶせたものを、いつもダイニングテーブルの真ん中に置いていました。わが家では、ビーフシチューやカルアピッグやキャベツからホットドッグやスパムまで、あらゆる料理と一緒にポイを食べました。塩気のある食べ物なら、種類は問いません。ポイは塩気のある料理とよく合います。

タロイモは水田でよく育ちます。オアフ島のKakoo Oiwiではボランティアスタッフがkalo loi(タロイモ畑)で泥だらけになって働いています(でも、それも楽しいのです)。

kalo(タロイモ)のポイ

Kalo(タロイモ)の球茎、つまり根の部分から作るポイは、初期のハワイ入植者たちにとって主食であり売り物でもありました。球茎を蒸してからペースト状にすりつぶし、ちょうどいい固さになるよう水を加えます。ポイの固さは、非常に柔らかい(3本指のポイ)や少し固め(2本指のポイ)、柔らかい(1本指のポイ)と、作る人によって変わります。1本指のポイはお金持ちのポイで、3本指のポイは貧しい人のポイです。作りたてのポイは甘味があり、日がたつにつれて酸味が出てきます。

Haloa(ハーロア)の物語

ポリネシアからの初期の入植者にとってkaloは特別な存在でした。古代からの言い伝えでkaloとハワイ人の祖はつながっていると言われているからです。神話では、Wakea(父なる空の神)とPapa(母なる大地の神)のあいだにHoohokukalani(天空に輝く星の女神)という娘がいました。

成長したHoohokukalaniはWakeaの子どもを身ごもりますが、死産してしまいます。Haloa(ハーロア、永遠の息吹)と名付けられたその子を産めた地からは、やがて芽が出てkaloが育ちました。のちにHoohokukalaniは2人目の息子を産み、最初の息子と同じくHaloaと名付けました。2人目のHaloaはすくすくと育ち、ハワイ人の祖となったと伝えられています。

ハワイの人々とHaloaのあいだには神聖なつながりがあると言われています。生命や生活を支えるkaloがないことは、精神的な死につながります。Haloaの物語は、私たちと自然とのつながりを伝えているのです。

ハワイアン航空のTeam Kokuaは、ボランティアスタッフとしてKakoo Oiwiを支援しています。Kakoo Oiwiは先ごろ、Hawaiian Airlines Foundationの助成金を受けて、農作物の洗浄と包装を行うコミュニティ施設を建設しました。

ハワイのポイ製造企業

Kakoo Oiwi(オアフ島)
46-406 Kamehameha Hwy
Kaneohe, HI 96744

Kakoo Oiwiは地域社会に根ざした非営利団体で、人々と土地のあいだに文化的なつながりを復活させることに力を注いでいます。オアフ島の東側に位置するコオラウポコ地区のヘエイアでahupuaa(共同生活地域)を運営し、2010年から現在までに約160ヘクタールの湿地の生態系を保全し、農地として開拓してきました。さらに、コミュニティワークデーや文化ワークショップを開催するなど、地域社会に教育やサービスを提供しています。自然とのつながり、そして特にkaloの大切さを知るには、loi(kaloのかんがい農地)の清掃ボランティアをするのがいちばんです。泥だらけになる重労働ですが、コオラウ山脈の絶景を眺めながらこの土地との精神的なつながりを実感すると、疲れも吹き飛びます。

Waiahole Poi Factory(オアフ島)
48-140 Kamehameha Hwy
Kaneohe, HI 96744

Kakoo Oiwiから北へ約8kmの場所にあるWaiahole Poi Factoryは、ハイウェイ沿いにある古びた木造の建物ですが、実はポイの有名店です。ポイが大好きな人だけでなく、ポイを初めて食べる人もぜひ訪れてみてください。1905年に建てられたこの建物は、70年以上にわたってポイの製造工場として使われていたもので、現在のオーナーが1970年代に購入して店に改装しました。この店をポイの初心者におすすめする理由は、毎日新鮮なポイが作られているからです。作られてから時間のたったポイは発酵して酸味が出ますが、新鮮なポイなら初めて食べる人にも最適です。もちろん、伝統的なハワイ料理と組み合わせて食べるのもおすすめです。おいしそうな料理ばかりで迷ったら、カルアピッグやラウラウをどうぞ。これは、塩で味付けした肉をkaloの葉で包んで、imu(地面に穴を掘るハワイ式かまど)や蒸し器で蒸し焼きにしたものです。デザートを食べるなら、Sweet Lady of Waiaholeがおすすめです。ハワイの歌の題名を冠したデザートで、ココナツのアイスクリームにkulolo(kaloとココナツミルクのソース)がかかっています。

Hanalei Poi(カウアイ島)
ハワイ各地の店で入手可能

かつては、店でポイを買うとしたら、ほとんどの場合はビニール袋に入れられて棚に並んでいる1ポンド(約450グラム)のポイしか選択肢がありませんでした。しかし、1999年に登場したHanalei Poiが革命を起こしました。カウアイ島のこのブランドは、ほかのブランドと違い、1ポンドのポイをプラスチック容器に入れて、鮮度を保ったまま冷蔵状態で販売しました。当時、これは画期的なことでした。冷蔵のポイは新鮮なだけでなく、すぐに食べられる状態に混ぜてありました。ビニール袋入りのポイは、食べる際にボウルに出して水で溶く必要がありました。濃厚で甘味があるHanalei Poiは、すぐにポイの高級ブランドとして評判になりました。

ポイは、ラウラウ、カルアピッグ、ロミロミサーモン、ポケなどのハワイ料理とよく合います。

ポイのおいしさ

ポイは、一見すると地味な食べ物です。2003年のニューヨークタイムズの記事では、こんなふうに紹介されています。「もし、世界中のデンプン質の食べ物がパーティーを開いたら、おそらくポイはアロハシャツを着たシャイで内気な性格で、グラスの影に隠れてどうやってポレンタに声をかけたらいいか考えていることだろう」

しかし、地味なだけではありません。何世紀も前からハワイの食事に欠かせない食べ物であり、大自然と人間のつながりを伝える存在として神話の中にも登場しています。ハワイでは、お祝い事やイベントがあると、それを祝うごちそうの中によくポイが登場します。それに、ポイはとてもono(美味)なのです。

注記:ハワイ語の発音区別符号はウェブ上で正しく表示されない場合があるため、本記事では省略しています。

著者 Spencer Kealamakia

August 9, 2022